地上の三日月/ホロウ・シカエルボク
 
流れからある時、自分だけが薄い膜に包まれて隔離されたみたいな不思議な感覚があった、思えばあの頃からずっと同じ景色を見ようとし続けているのかもしれない、真っ当な大人なら、厭世観とでも呼ぶようなものかもしれない、なんだっていい、ネガだのポジだの区分けしてどうこう言ったところでなんの意味もない、所詮ひとりの人間の感情というだけのことだ、社会にとって都合のいい人間になれるだけのセラピーなんかに騙されちゃいけない、内に宿るものがどんなに綺麗なものであれおぞましいものであれ、それが自分を突き動かすなら黙って勢いに乗ればいい、肉食動物の捕食シーンみたいなものだ、美も理由もおぞましさも…生きるために必要なものはす
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