廂間の送り火/あらい
ばかりが散らかりみせる
ひとひと 従順に温もりに驕れる。
砂上の跡は風に弄ばれ 鈍ら香ばしい燻りが
ぱっと咲いて花をつける。
異様な心地でふんわりと綿菓子の雲に飛び乗る
延ばした蛇の殻を摘んでは はにかんで喰らう。
なにを?
満ち足りぬ干きのまま、
弛緩した格子に多織り込んだ、古舟を漕ぐ。
この腕が育んだ生命、
空に唄ったはずの親知らずの乳歯、
侘し錆びた空き感の∞《ハチ》に生けたものだ
何も見えず聞けず微動だにしない 一粒の真珠
これを二枚貝に横たえる。
絶えず。期待と不安を枷に 核と芯をを強要(しい)た、
私に?
呑み込まれた星々に滑らせる 銀の月 底
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