料理で俳句?チーズ&クラッカー/SDGs
 
本日のお品書き〜チーズ&クラッカー


 食堂車の白きクロスや夏の旅



本州の西の端の町に住む人にとって、長距離列車は都会の空気を乗せてやってくる「文化」だった。特に食堂車は田舎の町にはない「匂い」が魅力的だった。牛脂の匂いと冷房で冷やされた空気が混じった、少し重く感じる匂い。都会の匂いだ。下関にはそのような匂いのするレストランはない。

時刻表をみれば列車食堂の運営欄には「都ホテル」「帝国ホテル」の名が見える。どちらもどんなホテルなのか当時はもちろん知らない。しかし子どもの想像力を刺激するには充分だった。

食堂車では車掌が帽子を取って、うやうやしく礼をしてから通
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