料理で俳句?チーズ&クラッカー/SDGs
 
ら通路を歩いていく。私は大人になった気分になる。私はせいぜい百キロ先の徳山までしか行かない。それでも食堂車にいれば、まだみぬ東京や京都を感じることができた。この線路を辿った先にはなにか大きなものがそこにある。そう感じた。

新幹線の時代になり、食堂車の通路は外縁に出され、車掌にうやうやしく礼をされることもない。二階建て車両の2階に食堂が移ってから眺望はよくなったが、「都ホテル」「帝国ホテル」は運営から手を引き、Jダイナーと名を変えた日本食堂の出す料理に「文化」を感じることはなかった。

私はビールとチーズ&クラッカーを注文し、列車の揺れでクラッカーのくずをぽろぽろとこぼした。車窓も味も殺風景だった。もうすでに、列車は文化をはこぶ役割を終えていたのだ。

今ではその食堂車すら姿を消した。
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