詩の日めくり 二〇一五年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
ら返す。この短篇のために、神谷美恵子さんの『ヴァジニア・ウルフ研究』(みすず書房)を本棚から取り出して、ウルフの伝記を調べた。神谷さん、音を省略する癖があって、夫の名前もレナド・ウルフ。4つ目の短篇「雪」は、よかった。『エンジン・サマー』で使われたSFガジェットが使われている。短篇のほうがさきに書かれたのかもしれない。記憶については、たしかアウグスティヌスの書いたものがさいしょのものだったと思うけれど、はなはだ興味深いものである。5つ目の短篇「メソロンギ一八二四年」は、ブロッホの『ウェルギリウスの死』を髣髴させた。詩人のバイロンが表現主体である。傑作だと思う。この作品では、バイロンがゲイの設定だけ
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