月世界の旅行者/ホロウ・シカエルボク
時折そうしてみないと身体が麻痺してしまう、すぐにも外へ繰り出してみればいいのだけど、まだそんな気分にはなれない、だからこうして今日をインプットする、震えながら服を着て、簡単な朝食を作る、スペースを占領するでかいテーブルを手放せないのは、なにも動かさずに食事が出来るからに他ならない、利便性とミニマムは必ず仲良しなわけではない、イデオロギーに延髄の皮を持ち上げられて振り回されている連中にはそのことが分からない、近頃の持たない主義にどうこう言う気はないが、ひとことだけね、捨てることと片付けることはまるで違う、断捨離だのなんだのには、過去を気にしない女のような愚かさを感じるよ、そこにはまるで学びや責任とい
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