詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
「Sara Smile。」
ずいぶん、むかし、ゲイ・スナックにきてた
花屋の店員が言ったことだったかどうか
忘れてしまったのだけれど
切花を生き生きとさせたいために
わざと、切り口を水につけないで
何日か、ほっぽっておいて、かわかしておくんだって。
それから、切り口を水にさらすんだって。
すると、茎が急に目を醒ましたように水を吸って
花を生き生きと咲かせるんですって。
さいしょから
たっぷりと水をやったりしてはいけないんですって。
そうね。
花に水をやるって感じじゃなくって
あくまでも、花のほうから水を求めるって感じでって。
なるほどね
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