詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
増させたように思う。
こころの準備のないときに、ふっと姿を現わすということ。
このことは、ぼくにヴァレリーの、つぎのような言葉を思い起こさせた。
それとも、つぎのようなヴァレリーの言葉が、ぼくにこのような感慨を抱かせたのか。
兎は、われわれを怯えさせはしない。しかし、兎が、思いがけず、だし抜けに飛び出して来ると、われわれも逃げ出しかねない。
われわれに取って抜き打ちだったために、われわれを驚嘆させたり、熱狂させたりする観念についても、同じことが言える。そういうものは、少し経つと、──その本来の姿に戻る……
(『倫理的考察』川口 篤訳)
二〇一四年十一月二日 「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)