詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
の書いたものの解釈をしていたのだが、あるときから、本に書かれた内容以外のものも含めて「読書」に参加するようになったのだった。いわば読みながら創作に関与しているのだった。これを正当な読書だと言うつもりはない。ぼくの読み方だ。ところで、つまらない作品だと思うものに大量のメモをすることもあれば、傑作だけれど、いっさいメモができなかったものもあるのだが、おそらくさきほど書いたような経緯もあるのだろう。あまりに完璧すぎてメモができなかったものにP・D・ジェイムズの『正義』がある。いや、『正義』からもメモをした記憶がよみがえった。しかし、ぼくの頭は不完全なので、あったことのない記憶もあれば、なかったことのある
[次のページ]
戻る   Point(10)