おそらくはそれすらも平凡な日々の欠片/あおば
 
する
バッテリーも空なので
充電しなくてはならないが
その暇はない
走っていればそのうちに
電気は少しずつ貯まっていくだろう
古くさいヘルメット
いつものカバンに夕刊や
さがな54号をプリントしたもの
なんだか判らないもの
緑色の折り畳み雨傘
新宿は遠くないからと
カバンを閉める

真っ暗な空を見上げて
走り出す
バイクを押して走り出す
10mで
エンジンが掛かり
20m余りで
飛び乗って
やれやれと
ハンドルの力を抜いて
お客様の気楽な気分をすこしだけ
味わうのです

路地を抜けだし
大通りの立体交差の頂上付近を駆け上がり
寒くなったなあと
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