いつもの部屋/後期
 
が大きくなる」「目が大きくなる」と繰り返し伝えてくる。「今度は目か」と思っているが、変わりがない。自分と背を向けて寝ている人が、目を巨大化させているのだろう、と、気の毒になる。耳よりは確実に痛いだろう。見たくもないものまで、見なければならなくなる。目蓋だって、そうだ。瞬きすら容易ではないだろう。お気の毒だ。と、思うと同時に、耳でよかったと自分の不幸の小ささを喜んでいる。アンテナの先から稲妻の形をした光が絶えず飛んでいるのが見える。光は直ぐに形を崩すが、崩れると、また形を求め蝶や蜻蛉となり、辺りを暫く輝きながら、飛び、舞い、闇に吸い込まれて行く。背を向けて寝ている人が、大きな声を出した。「虫が大きく
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