リバイバル/直治
 
手が小さき枕抱いている
泣けない瞼がふたつもあって夜明け前
泣かせてやれない小さな童子うずくまるわが底
泣きたい心がぐしゃぐしゃになって夜明け前の氷層
弱い弱い弱いじぶんの輪郭はっきりとある
ねむれよねむれ我が手わが子を抱くごと
うすい手首切ったような雨が濁る
白日のたもとに泣いた心奥へ押しやる
すがるものがない青い静寂につめたい夜明
育ちすぎたなんて小さい私だ
泣いてる瞼閉じるうすいひかり
さみしさが鼓膜はりついて逃げれない夜だ
頬濡れて生きるつたなさ噛みしめている
よそから灯りが洩れてさみしい家路
泣いてる子を黙らせて白日生きようとする
眠れない夜の傷口たしかめて
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