またしても秋/道草次郎
 
初秋(はつあき)の床にメールの落ちる聲(こゑ)

秋めくと紫いろもほの蒼(あお)く

風すてて秋の彼岸の岸に付く

秋のひる裏返しの儘(まま)外仕事

空澄んで一箇の落下おともせず

つかれはて柿の紅葉(もみじ)に纏(まと)う影

鶏頭のおちつく角(つの)に涅槃あり

通るごとコスモス揺れる堤道(つつみみち)

折り合えもせずにここまで糸芒(いとすすき)

蟷螂(かまきり)のかまのやわさに絡む指

野葡萄のいろとりどろと雑貨店

獲りたてと雖(いえど)も秋の褪(さ)め{ルビ茄子=なす
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