眩瞑/あらい
 


 溶けずに残る唐辛子の惑星を グラスの糸口に食紅と一緒に注いだり、きみとぼくの隙間を埋めて狂ったような、てのひらの生命線を描いたり。三半規管がまじろぎを泳がせたこれが酩酊してる愛人関係だとして、縺れた行き先が鸚鵡返しだと申せば 茹だる残骸が齎すものは自白を装う
 腐食した燻りであっても 鍋の底に転がされた甘栗の棘の名残でも、

 囚われたままのビニル袋に反転した蝶蜻蛉が、夢をみているかもしれないなんて 救われもしないまま。これが泳ぎつかれた愛玩用淡水魚の 美しい死にざまと言えるのだろうか。

 喋々《ちょうちょう》
 もう黙ることの成らない螺子巻き式ほほえみの行く先に舌触りの
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