HOPE/直治
小さな花瓶に朝が冷えている
うたた寝ゆっくり溶けている氷
冷え切った静寂の前に坐る
うすいひかりに夏の感傷吹きつける
パンクした自転車で夏を通過している
みんな同じような愚かさかかえて朝露
戻ってきた故郷にうすい陽がさす
眠れないとなりの灯りがついた
部屋も私もいよいよしずかに
自殺したくなる雨の色だ
一生も一日も長すぎる窓の手の跡
なんとはなしに暮れて散りそうな若葉ある
煙草もなくて凌げぬふたりだ
投げつけたコップが割れてみじめだ
遠目に見ている花のうつくしい
もっと淋しくていい道の駅にいる
親不孝のそのただ中にいて夕空
かなしみの分岐にやがてちぎれてゆく青は
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