厭離穢土、欣求浄土/飯沼ふるい
 
つかせやが
つて、猥褻のカドで捕まればいいのに。

黒煙の行方を追い続けていると、(と、
一点の光が七色にうつろいながら輝い
ている。(斜に構へてみたりする、鉄
塔の点滅ではない、ユーフォーだ。ホ
ラかもしれないしウソではないかもし
れない。30分ほど前(あつちには芍薬
の枯野がひろがつてゐて、土手に腰を
下ろしていた俺の背を通り過ぎた徘徊
性の痴呆らしい禿たジジイが、黒煙に
まみれて咽ながら光へ召し上げられて
いるからだ。

あぁ、(こつちには明王の眼が転がつ
てゐて、キャトルミューティレーショ
ン、御来光、メメント・モリ。焼きそ
ばだって食べたくもなるし、(
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