風船/
 
かもしれない
もし彼らが僕のように飛べなくなってしまったとしたら
僕の石のように凝り固まった頭は
年月が経てばやがては誰でもそうなる
自然の摂理ということになる
逆にもし彼らがずっと僕の頭上を飛び続けるのだとしたら
きっと彼らの目に僕は負け犬か死者のように見えることだろう
もし後者だとすれば僕は下から必死に歯でも見せて
激しい嫉妬の表情を少なくとも遠目からは笑顔に見えるように振る舞い
「僕は駄目だったけど頑張ってね。」とでも若い風船に声をかけるのだろうか?
少しでもいい感じで落ちた風船らしく振る舞うために
その時の僕の表情はきっと嫉妬に歪んだ顔より惨めな表情をしていることだろ
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