風船/桂
だろう
何度想像してもそれは惨めだった
できることなら そんな萎れたイメージなど持たずに
海のように青い空で浮かんでいたい
誰の目も気にせず自分だけの空を持っていたかった
それこそが風船に生まれた者の醍醐味ではないか
ところで風船が飛ぶにはヘリウムガスがいる
もしくは空気より軽い何かで自分を満たす必要がある
僕らが日常で抱える問題を少しでも軽くすものがあるとすればそれは期待だ
週末の楽しみが平日の苦労を軽くするように
もしくはダイエット中の女の子がダイエット後の自分の体を思い描いて
減量に励むように
僕らは期待を抱き次の場所へと飛んでいく
きっと僕が飛べなくなった
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