夢日記。/あらい
 
飛び立った、おたまじゃくしか。
 傘も持たずに雨の中、大事に握り込んだのか、押し潰れてしまったことは、やはり確かでしょう。いつまでも子供のままで、そこにいたいから残酷に意地汚いものを口ずさんでいる。
 
 皿に開かれたスナック菓子のだらしなく傾いた曲線。口許をなだらかな咀嚼が繰り返す、悦びが浸されていく、うまいだけの生き方。
 誰の犠牲も痛くはない、踏みにじる足跡の途。
 たどるものもいない夢魔の泥の角で 塵となりふんとなった誰かの墓石は、しなびた歌を流す、とうぜんの風と共に生きて。
 
 過去に遡る 魂を此処にとどまらせた。
 空っぽの空を憎らしげに見上げ、記憶に蓄積された雨が泣
[次のページ]
戻る   Point(1)