第六七二夜の街/阪井マチ
 
締めたのだという。驚いた家族が近所の住民に助けを求め人を集めたが、《蛙》がいつまでも身体を離さないため止むなく全員で殺害した。今まで目にしたこともない生物の死骸をどう扱うか議論している最中、その腕の古い傷跡に気付く者がいた。顔色を変えた家族がよく検分したところ、失踪した二人の身体にあった傷の治療痕や痣の類が《蛙》の肢体の同じ位置に確認できた。《蛙》から生えた十本以上の手足の内六、七本は子供二人の物だと思われた。よく見れば目元が親にとてもよく似ていた。子供たちは互いと何かそれ以外の物と一緒くたに混ぜ込められて、それでも生きて家に帰ってきていたのだ。殺害に手を貸した街の住民は頭を抱えたという。なぜ、ど
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