鉛丹/あらい
へも、あなたのとこでございましょうから。
(しあわせと、有りや無しや)
とても とれやしない、おひ様で透かし見る、皺で決まる人生など
なんら意味はなく、ただ矢継ぎ早に信じて 言ったので、
これは ひとめぼれ であった のでしょう。
等々涙を零して私はあなたと指をくわえることにいたしましたと、
めでたし めでたシ。
小箱に命名された契りの痕は、やはりそう信じられていた迷信は
真っ白な敷布に爪を立て穴が開くほどみつめあい、赤く染まる、
聞き届けられない史が、四方に防波堤を打ち立て、なにやら
箪笥やら鏡やら嫁入り前かと莫迦に悟ります。
入口も出口も見当たりません。
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