短歌そのた置き場/朝倉キンジ
 
私がそこを通過する。


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 ナーダの響き


夜、廊下にいる犬の眼は
かすかにふるえながら薄明かりを映す

それはこの世に放りだされた
独りぼっちの命のとまどい

この新生代Quaternaryまでのなかで
無数の誰かにおいて
その感情や驚きという過程がたしかに行われ

それを風景や匂いのように
感知していたそのひとりひとりはどこへいったか


震えざる音 アナーハタ・ナーダ
音域の果て、光のとおりみちにおける

ゆくえの消失音

そして それを探す声


  ?

 フォスターの命題


{引用=純粋持続のなかでは
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