短歌そのた置き場/朝倉キンジ
 
て 
あのひとのことを
記憶する
ああ今 耳もとで
咳する声さえ きこえた
(誰を待っているのだろう?)
(私は約束していなかったろうか?)



  ?

 師父に


かの博物館で
青い水晶に鎖をそえて
手渡されたなら
世界の自律生滅を信じよう。
仮定上の像を伴い
誰も訪れない蛍光のしるしが
無に帰るまえに
その対証明を行おう。
送り出された私という意識は
まるで鉄の軌道を進んでいる。
あなたは部屋を出て,上下をゆびさし
慈しみを動力とした知られざる
往来機構を教えてくれた。
それら機構の全体が
新たな悲しみの指標を立てて
私が
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