思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは/ホロウ・シカエルボク
 
は開かなかった、ノックをするべきだったなとあとから思ったけれど、どのみち施錠されているのなら気にすることもなかった、この時点で、他のドアもきっと開かないのだろうなという気がした。すべてのドアに手をかけてみたが、やはりすべて開くことは出来なかった、中に誰かが居て、息を潜めているような気配もなかった、そこがどんな部屋なのかを示すプレートのようなものもなにもなかった、どうやら病院ではないのだ、とにかくその廊下から離れて歩いてみることにした、建物は、正方形の中庭を直線で囲んだような作りだった、中庭では、見覚えのない低い木が枯れていた、幹が重さに耐えられず頭を垂れたみたいな形だった、もともとそういう伸び方を
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