虫篭窓の瞼/あらい
 
をいっこ光に透かして見るんだ。羽のように広がる葉脈が拍を刻んでいるから、それに合わせて呼吸を整えると良い。それが小さくなるまで繰り返す。面倒なことはない、そのうち時に昏くなって闇に侵され永遠の幸せを得るんだ。
 お菓子の家には蛆虫は集らないが、お前らのような餓鬼はわんさか捉まるもんだ。だがもう怖いことはおこりゃしないのさ。当の昔の出来事を穿り返しても白骨一片もみつかりゃしないのは、こりゃあ偽物だからさ。覚えているなんて記憶いつだっていいように捏造を重ね、罪重ね綺麗な装丁で覆い隠した、ただの化けの皮さ。

 さあさ もういいか、老いぼれの法螺話 真に受けちゃあならねえ。なにもなりゃしない夢に溺
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