虫篭窓の瞼/あらい
 
み潰せばいいのに、眼中にもないと。老いぼれは襤褸を着てその時を待っている。極楽か地獄か、夢ぐらいは冷めてくれるな。血の池にハマる餓鬼なのかもわからぬまま。
 か細い残光が一斉に泣き始める、赤子が乞うように求めるように、
 元からいたかのような空蝉が、つんざいて、逝く。
 拾っては竦めていく、胸の内をどう捕らえようとも、苦しいばかり 空いた口は戦慄くばかり。何もかも発せずに漏れだした息様は、徒労もなく続いていることが こんなにも馬鹿馬鹿しい。

 なら物語を閉じ込めるには明かりを消せばいい。
 でもそれには準備が必要だ。

 花占いの絹糸を凡て堕として裏を返せば、先ず生きの好い魂をい
[次のページ]
戻る   Point(1)