虫篭窓の瞼/あらい
 
不思議でならない。まるで白百合のようにしっかりと姿を揃え頑として揺るがないものであるが、
 わたしは葬儀のあともずっとそれを眺めていたはずで、ふいに雷鳴が轟いて明かりが消えた、ただ刹那のことである。

 この足どりを引っ張るものは。
 なにもかもやみもないおもいで、
 この手で曵き拔いて凅らした雑葬の束 踏み付けて歩んだとて らくなはずであった。しかし今の今まで、気づいてなどいなかったのだ。

 これは、そこがあさい、そもそも箱なのだろうか。
 作り出した透明の虫籠に、私が掴まっている。
 必死にもたついて魅せる芋虫はぎらついたみてくれで威嚇しているようだったが、造作も無く踏み潰
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