虫篭窓の瞼/あらい
 
、もう遅い、焼き尽くして仕舞えば、めっぽう傷んだ鱗粉は火の粉でしかない。
 舞い戻る黒揚羽は蔓延る現世を繋ぎ確認することを諦めたようだった。

 さてこの状況はどう説明を点けようか。
 百合籠に孵る、指に留まる灯りは少しばかり羽をやすめ、点る天蓋は青々と盛りを帯びた海が天上に蔓延っている、此処は外か家か言わずもがな身慣れた風景に彩を増しただけなのだろうが、不可思議と溺れるほど耄碌はしていなかったはずだが、妙に揺蕩う天井が高く眩く感じ、とても狂おしい。

 そう、うるわしいその象徴はあなたの見た目より更に一段と堅い化粧箱に鎮座していたというのに、今の今までそれには気づかなかったことが不思
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