虫篭窓の瞼/あらい
 
子の悪戯餓鬼が雅楽とも鏤められる。金持ちの道楽だろうが底に新たな住処はあるらしい、と多少の身の犠牲に浸る間もなく腐った床を掘り返していく。
 まあ、でるわでるわの散り誇りに咽びながらも、とうとう根底に涌いた流れはとても湛えては匂うばかりで、花や蝶に集る、ひとびとでごった返していた。

 さてこれだ、揃いの花簪はよく似合っていた。と帳は下される。
 しゃなりしゃなりと愛しく意図を狂わせる、手つきが、勝手に喉を通らなくする、声も艶に潰され自らの意思は捨て去られるまで、依涸れた耳は聞こえないふりをする。封焦られた私の躰が舞い上がる刻、がなりたてる綺羅星が胡蝶の愛を喰らうものどもの姿を捉えるが、も
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