カップ/山人
 
思うと、目の前には賽の河原という情緒豊かな場所など無く、未知の惑星のような不毛な大地があった。
 有機体などの存在は感じられず、怪物のうめき声のような音が煙を伴いながら巨大な工場から発せられていた。
 自分の意思とは関係なく、私は吸い寄せられ、いくつかの入り口がある、その一角に投下された。溶鉱炉のようなものがあり、私はそこに落ちていった。何も感じることはなく、自分が風船になり、勝手に突かれているかのごとくであった。
 たぶん・・・何かに変えられてしまうんだろうか、なぜか知らないが、再び長い記憶を失う気がした。

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 雄太は来月結婚式を控えてい
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