カップ/山人
 
つまり質量がないのだ。なんとなくだが透明色のような薄いもやのようなだるい感じがする。
 お経が終わり、僧侶が説教を始めた。内容がまったくよく聞こえない、時折すすり泣くような声もする。妻であろうか、娘であろうか。もしかしたら・・・、いろんな思考が交錯する中、出席者がざわつき始め、式が終わったようだ。
 出棺のときである。周りには見たことのある人が居るのだが、誰だったかわからない、これが死んでしまったからなのか脳味噌がないからなのか解らないが、特定できないのだ。
 おそらく先頭を歩く人たちは私の家族達であろう、しかし、それも薄らぼやけて判別が出来ない。男女の姿さえも判別できないのだ。
 火葬場
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