ショー・マスト・ゴー・オン(脚本がすでに失われていても)/ホロウ・シカエルボク
 
り丸一日はかかったけれど

そうしてぼくは実家には帰らず駅前にホテルを取り
きみの家を訪ねてみたけど
がらんどうの荒れ果てた空家だった
さてね、と頭を掻いていると
だれかがぼくの名を呼んだ
子供のころ一緒に遊んだ男だった
子供のころとは似ても似つかぬなりをしていたけど
「彼女なら病院に居るよ」
そう言って病室の番号を教えてくれた
ぼくはささやかな花を買い
早速訪れてみると
きみは鼻に管を繋がれ
ぼんやりと天井を見つめていた
華奢だった身体は
目一杯詰め込まれたごみ袋のようだった
久しぶり、とぼくは言ったが
きみはまるで反応しなかった
ぼくはおかまいなしに

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