ショー・マスト・ゴー・オン(脚本がすでに失われていても)/ホロウ・シカエルボク
 
夫だ」と
ぼくは家賃や生活費を払いながら
「ぼくの分まで頑張れ」と
無責任な応援を続けた
役をもらえないまま二年がすぎたあと
きみは行方をくらました
書置きも電話もなにもなかった
(生まれた街に帰ったに違いない)と
ぼくは感づいたが
忙しさにかまけて追いかけなかった

やがて不況が来て
店が上手く行かなくなり
たたむことを決意したぼくは
ふいに
そこに帰ってみようと思ったんだ
いや、ずっとじゃない
ちょっと帰ってみようって
久しぶりに訪れた駅は綺麗になっていて
あれほどいろいろなものを乗り継いだ故郷は
一本の線路で繋がれていた
驚きだ
それでもやっぱり丸
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