ぽっかりと空いた穴みたいな時間/ホロウ・シカエルボク
 
様相を呈した、マーチング・バンドは能天気に演奏を続けていた―ハイド・パーク・コンサートのミック・ジャガーの演説が頭をよぎった、でもそれがどうしてなのかは分からなかった、どうやらこちらのほうも、いろいろなタイミングに狂いが生じているらしかった、けれど、そんな狂いは俺としては別にいまに始まったことじゃなかった、俺の意識は頻繁に脱線する、脱線して、そこでエンジンが壊れてくれればまだいいが、そのまま無軌道に走って行ってしまう、縛りが無くなったせいなのか、速度もだんだんと上がっていく、その時俺の身体は、金縛りにでもかかったように微動だにしなくなってしまう―だから俺は、思考を妨げないような単純作業ばかりを選ん
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