気づけよ、ユニークなメイクを施してたのはいったい誰だったのか/ホロウ・シカエルボク
 
ながら聞き流している、やつがターンを決めるたびに鉈にこびりついた生首女の血液が路面に禍々しい円を描く、生首女はそのたびに舌打ちをする、チッ、チッ、ピエロは時々その舌打ちにステップを合わせているように見える、それが女を余計にいらだたせる、ピエロはすべてを聞いているらしい、そのうえで聞いていないふりをしている、狡猾だよ、なかなかのものだ、俺がもしも銃を持っていたら間違いなくやつに向かってぶっ放すだろうな、レストランの残飯をたらふく貪った蝿が銃をぶら下げてやって来る、やつは擦り合わせていない後ろ足で器用に銃を差し出し、さあ、とでも言うように小首をかしげて見せる、大きな目でずっとこっちを見ている、俺はその
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