この街の壊れた玩具たち/ホロウ・シカエルボク
 
ナイフの刃先が決して届かない場所にあった、俺にとって、言葉のひとつひとつはそれぞれが小さな刃物だった、それを紡ぎ始めたとき俺は感じたんだ、これはいつか俺の心根を確実に貫くものになるかもしれないって…でもそうだ、幸せって気分にはそれはまるで近くはない、もしかしたら、破壊することではそこに近付くことは出来ないのかもしれない、のほほんとして、何も考えずに、すべてを受け入れ、真っ直ぐに堅実に―そんな人間じゃなければ、自分が幸せだと感じることは出来ないものなんだ、つまり幸せってのは、ドラッグを使って見る幻覚と同じようなものだ…どういうことかって?「騙されるのが得意なやつだけが知ることが出来る」ってことさ、そ
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