平衡/カンチェルスキス
 
グがテーブルの真ん中に
 どすんと置かれていた。
 何が入ってるのかわからなかった。




 観覧車を時計に見立てると
 四時の位置まで
 太陽が移動していた。
 すべての線が消えかかり
 人工の光に再び明確な輪郭が
 再生される時間まで
 もう少しだった。




 途中
 店員の女が
 テーブルを拭いて回った。
 物音で女は顔を上げた。
 そして窓に頭を寄せると
 また眠りに落ちた。




 おれがどうしても
 思い出せなかったのは
 数秒前に自分が感じ
 考えたことだった。
 確かにそのときは
 この頭に
 確かな存在感
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