ネット詩とビート/藤原 実
 
うなディキンスンなどが米詩では好きだ。
『エミリ・ディキンスン---天国獲得のストラテジー』(稲田勝彦著/金星堂)は「私が詩の中の人物として私自身を表す時、それは私ではなくてある想定された人物です」というディキンスンのコトバをひきながら、彼女の詩のなかのさまざまなペルソナの変遷を「ディキンスンの詩は彼女がさまざまな戦略を用いて天国を獲得しようとしたその試みの軌跡である」とする視点からディキンスン像にせまろうとするもので、彼女のアイデンティティーの複雑さをキーツのいわゆる『自己滅却』と結びつけていて興味深かった。

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      詩人はただランプをともし
      みずからは消え
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