からっぽの世界/ホロウ・シカエルボク
 
たちはわしらが一生食わせてやるからこの町で好きに生きろ」
「生きている間子供を作り続けて、この町に預けろ」
「有難いことじゃ、お前らは町の救い主じゃ」
テツとマチとラノは彼らの喜ぶ姿を見るのが好きだった
それが自分たちの使命であるのなら全うしようと考えていた
生まれたときからそんなふうに教えられて育った
それがおかしなことだなんて夢にも思わなかった
時々子供を作っては町のものに育て方を習いながら過ごした
二十年が経つ頃には町はかなり賑やかになっていた
男たちは新しい船を作り
海に出て沢山の魚を取ってきた
女たちはそれを捌き
必ずテツとマチとラノの家までおすそ分けを持ってきた
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