からっぽの世界/ホロウ・シカエルボク
 
を作るようにと教えられた
飯は誰かが必ず世話してくれた

三人が三人だけの家に移されて二年後
マチがまず身籠った
マチの母親が来てマチを一度生家に戻し
その間テツとラノが二人きりで暮らした
マチの子が生まれ
マチが帰る頃に
ラノも子を授かった
ラノの母親がラノを生家に連れ帰り
テツとマチは二人きりで暮らした
そんなふうにして七年ほど経つと
小さな漁師町には子供のはしゃぐ声が響くようになった
テツとマチとラノはあまり頑張らなくてよくなった
少なくとも今居る子らがある程度育つまでは

テツとマチとラノは働かずともよかった
町のものたちは彼らを有難がった
「お前たち
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