妙に冷めた口をきくやつらばかりだ/ホロウ・シカエルボク
大蛇の背後は不自然な暗闇に包まれていて、本来そのあたりに在るはずのドアは見つけることが出来なかった、なにか、現実的ではない力が働いているのだ、それが大蛇のせいなのか、あるいは大蛇自身が俺の中にある何かしらの血管から生まれてきたものなのか、しばらく考えてみたがどれもとりとめのないものだった、問題なのは、それは経験や知識、あるいは直観によってなんとかなる状況ではないということだった、そりゃそうだ、「生きようとしないものの肉はつまらない」大蛇は数十年も経を読み続けた僧侶のような声でそう言った、そして、答えを求めるように俺の顔をじっと見た、俺は肩をすくめて「たいした問題じゃない」「食われなくてラッキーだと
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