二〇一九年初冬/山人
 
動してゆく。
 途中、アンテナの跡だと聞く大きな広場に車を止め、弁当を広げる。まるで色彩の無い、茶色一色のおかずが白米の上を覆い、飲み物は香りのいい紅茶だった。
 汚れた車内の中で、美味いとは言えない弁当を食い、失意にまみれた広葉樹林と、落ちゆく雪を眺めていた。
 咀嚼の数ほど多くの事柄があり、それを認めながら体内に落とし込んでいく。この一年を冬鳥の群れが一気にさらいあげ、上空へと舞い上がらせた。

 五日、六日、雪は降り続け、朝一と昼頃、人力除雪に入った。車庫の片隅に埃をかぶった除雪器具を取り出し、雪をさらいこみ、特定の場所まで運び、棄てる。この単調な作業を進めていくと、次第に体は暖か
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