たとえば小石の落ちる音のように/ホロウ・シカエルボク
 
たそれを小さなリュックに押し込んで上に上る階段を探した、ロビーから入っていちばん奥の、かつてはエレベーターが行き来していた薄暗い穴ぼこから左へ折れた先にそいつはあった―重い鉄製のドアは施錠されていなかった、いっぱいに開くとやはりコンクリが剥き出しの、素っ気ない階段が現れた―それを上りながら、不思議なものだな、と思った、上るときは天井を見上げ、降りる時は床を見る―普段はそんなこと考えたりしない、この場所が非日常だから、そういうことが露わになるのだ…かつては俺たちと同じ世界で生きていた空間、人は死ねばそこでお終いだが、こいつらはセレモニーのあとも生き続ける、特にこんな山奥にあるものは尚更だ…床に散らば
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