狼狽える詩人どもに/ホロウ・シカエルボク
 
めが早過ぎる、致し方ないことだが…まだ太陽は始まっていない、地平線の下でウオーミングアップの真っ最中だ、薄め過ぎた黒絵具のような闇が硝子戸の外に広がっている…無意味な走馬灯のように、往来を行き交うヘッドライトが瞬間光の線を描いては居なくなっていく―トーストが焼き上がる頃にはそんな、主役の居ないメランコリックは真っ白な夜明けに塗り潰されている、世界は今日もころころと色を変えていくのだ、死滅した文明の中央部分で稼働を続けている生物コンピューターのように…珈琲を口にするのは早過ぎた―喉元には火傷の感覚がある、剣山で軽く引っ掻かれたみたいな痛み…ふと、この痛みはいつまで持続するだろう、と、俺は考える…痛み
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