僕は彼女の手を握っていた/la_feminite_nue(死に巫女)
 


彼女が僕のものになった時、
いいや、違う、
僕が彼女のものになった時、
僕は寂寥と悲哀を抱きしめているような気になった。
そして、死に近い何かに触れているように。

彼女はいつか彼女ではなくなってしまいそうに思えた。
いつでも水色の服を着ていた。
空を見上げると、
「わたしね、いつかあの雲に乗りたいんだ」って、言っていた。
そう。彼女ならそう出来るのかもしれないと、
僕は思っていた。

キャンバスには、青と白の水彩画。何枚もの。
彼女の部屋にはそれだけが残された。
僕にとっては、その他のすべてが見知らないもののようだった。

彼女が彼女ではなくなっていくの
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