雨は永遠のように降る/ホロウ・シカエルボク
雨だれが
潰れた貸しボートのトタン屋根で鳴る
小さな生きものの骨を折るみたいな音だ
その音の中で死を数えてみる
もちろんすぐに数え切れなくなり
意識ばかりが先走って
いつのまにか無数の死に囲まれる
いつだってそうだ
計り知れない
途方もないことだって知るのには時間がかかる
雨よ、それ以上語ることがないのなら
臨終のときの心拍数のようにすべてを終わらせてくれ
それきりしんとなって
どんな音も耳に届くことはない
そんな世界が訪れても構わないから
いつかは、そうさ
どんな指揮者だって疲れて腕を下ろすものなんだ
夜
熱湯に溶かすだけのカフェ・オレを入れて
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