あの灰が零時になるとき/ホロウ・シカエルボク
 
れという形を持たない
それが真実という場所に居れば真実だし
嘘という場所に居れば嘘になる
おれは眉間にしわを寄せながら
そんな目くらましの裏側にあるものを知ろうと躍起になっている
一言で片づけるのは容易いさ
深く考えなければいいだけのことなのだから
簡潔な言葉を信じるな
そういうやつらは
安くて脆いマイホームに手を出しがちだ
手段や手法にこだわればこだわるほど
そのほかのすべてが見落とされてしまうことを忘れてはならない

ある日突然脳がぶっ壊れた父親は
痛みを自覚してもそのことを思い出せないまま
癌細胞の漬物みたいになって死んだ
歯の検診をしているみたいに
ぽかん
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