あの灰が零時になるとき/ホロウ・シカエルボク
蝉が
七日しか生きられないというのは
どうやら嘘らしい
ラジオで言ってた
とても重要な出来事みたいに
ディスクジョッキーは
感じ入っていた
そうかい
と
おれは
コーヒーを口にした
知らない誰かの
訃報を
何度も聞かされた時みたいに
ひとは
歳を取るようで
たぶん取らない
したり顔で
これまでの人生を語っても
そこからなにかを学んでいなければ
どこかで見つけてきたみたいな
安っぽいことしか語れない
どこかの商店街を
看板だけ見ながら歩いて
すべてを知った気になっているような
そんな間抜けさしか残らない
おれは
?き集めたおれの表面を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)