<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
野の住人に助けを求めたり
されども、誰も庇いまいらず
いやなことなり、いかにもなりたまえ
ただ一人、婆のみぞ姫を粗末な家にいれたまう
婆、姫に粥を馳走す
姫、婆さまと田植えすること眼に浮かぶように感じそうずる
ふと見れば、囲炉裏の前にお手玉あり
そは、孫のために編みけり
姫、しばしそのお手玉にて遊べり
何ゆえに、われは婆さまの子に生まれざりしか
姫、大きなる眼に涙をため、そを嘆き悲しむ

  忘れ草なら一本欲しや、植えて育てて見て忘る

されども、右府の兵、婆の家に迫れり
姫さま、早う、逃げなされ
姫、戸を開け、振り返り振り返り、泣きながら逃げはしる
兵の手、姫の
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