<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 

ただ、肩が雪に打たれている
この甘美な時を残すべきか
ぼくは迷っている

「君の来る日」

僕が去ろうとするこの街に
君が越してくることを友人に聞いた
僕は駅のホームで
八時五分着の特急を待っている

あの六月の夕方、庭園の小道で
君と友人のあとを自転車で追いかけた
髪に揺れる紫の蝶結びは紫揚羽が飛んでいるように見えた
突然の雨、あずまやでのひととき

次の日、女友達を連れないで君はひとりで来た
みずうみに浮かべたボートが橋の下を通り過ぎる
まばゆい光がオールの水にきらめき
そして、告白と確かめるような口づけ

手紙を交わし合った三年間の愛の日々
吹雪
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